すみっコぐらしカフェ

 今朝見た夢。中学でも高校でも大学でもない組織に私たちは属している。だだっ広い公園か野原か、そんなような場所で、文化祭の出し物をしないといけないという話だ。出店内容を今日かんがえて準備し、明日が本番だということになっている。ヤバいよ時間がないよ。と焦りながら、生花店で働いていた頃の同僚や上司と協議する。「例えばなんですけど、すみっコぐらしのカフェみたいなやつは、どうでしょうか」私が提案してみたら、いいね楽しそう!と大いに盛り上がって即座にそのまま採用される。ちょっとうれしい。というわけで、私は小売店やゲームセンターを訪ね歩いて、すみっコぐらしのぬいぐるみをかき集めて来る。その間、同僚たちは急ピッチで作業を進め、どうやって作り上げたものだか分からないがプレハブどころではない、ちょっとしたコテージのような立派な建物を設営している。えー!?これはすごいですねー!と私は持ってきたぬいぐるみを袋から取り出して言う。それらを室内にバランスよく配置し、ぬいぐるみ同士が会話してるように見える感じを出す。狭間の空間はカーテンを垂らして隠したり、ドリンクカウンターを置いてそれっぽく誤魔化したり、生花店の先輩たちは、そりゃ装飾のプロだもんなぁと納得できるような見事な仕事ぶり。よそは500円でやってるらしいけど、うちの入場料は300円にしよう、コーヒーや紅茶はインスタントで大丈夫だからカップだけは紙コップじゃなくてそれらしく陶器の物にして、お茶請けにはパウンドケーキを薄く切って提供しよう、すみっコぐらしを楽しみに来るんであってお菓子を楽しみに来るわけじゃないでしょ、量は要らないよね、と作業しながら話がまとまる。なんとかどうにか準備が全部おわった、あしたは本番がんばろう!

 くたくたになって家に帰る途中、はたと気がついて私は思う、「もし《すみっコぐらしカフェ》と銘打って利益を得たら、それって著作権とか商標の問題で引っかかるんじゃないだろうか…」それで急いで近所の副店長Oさんのアパートへと走って行く。Oさんは勤務していた当時に私をひどく難詰したり威圧的に説教したりする上司で、ひらたく言えばパワハラ、でも後半は優しかった人だ。Oさんは玄関先で「どうしたん急に?」と眠そうにメイクオフした目をこすっている。「今さっき気がついて、こんなこと今さら言うのは馬鹿馬鹿しいかもしれないんですが、」中略「だから《すみっこ生活》みたいな、これはパチモンですよと明らかに分かる名前にするか、もしくは文房具みたいなのを中で売るような形に変えたほうが良いのかなーと思いまして…」私はおこられたくないので「今更こんなこと言ってスミマセン」感を強調しつつ提案する。するとOさんは「あーうん別にいんちゃう?それで大丈夫よ。Cくんに全部まかせるわぁ」と機嫌よく、しかし投げやりに返答して、とくに指示もなくオヤスミーと戸を締めた。

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 私が覚醒してから考えたのは、この夢は私の脳が考えたのに、なぜ「著作権か商標で問題になる」と最初から構想しなかったのか?ということだ。夢を見ていない状態の私なら、最初から「これは著作権とか引っかかると思うんで」と主張しているはずなのだ。